衣984ハンセン病の男性が死刑執行された「菊池事件」、差別恐れていた遺族が再審請求

衣984ハンセン病の男性が死刑執行された「菊池事件」、差別恐れていた遺族が再審請求

 

ハンセン病の男性が死刑執行された「菊池事件」、差別恐れていた遺族が再審請求
2022/12/04 22:01
 ハンセン病とされた男性が死刑となった「菊池事件」で、男性の親族が熊本地裁に再審請求を行っていたことがわかった。弁護団が4日、明らかにした。請求は昨年4月で、今後、地裁などとの協議が始まる可能性があるため、公表したという。

 

新型コロナウイルス禍の影響で3年ぶりに開かれた追悼集会の中で報告した。男性の親族は差別や偏見を恐れて再審請求を行ってこなかったが、弁護団が進める再審請求の活動に後押しされたという。国宗直子弁護士は取材に対し、「再審請求権を持つ遺族が請求する意義は大きい。来年は地裁、検察、弁護団による3者協議が開かれることを期待したい」と述べた。

 刑事訴訟法は、再審の請求者は有罪となった本人や親族、検察官などと規定。国立ハンセン病療養所菊池恵楓園の入所者自治などは2012年11月、最高検宛てに再審請求を求める要請書を提出したが、最高検は17年3月、応じないと回答した。

 入所者らは同年8月、検察が再審請求しないのは不当として、国家賠償請求訴訟を起こした。熊本地裁は20年2月、隔離施設で行われた特別法廷での審理を憲法違反と認める一方、原告の請求自体は棄却し、判決は確定した。

 その後、原告と弁護団は検察に改めて再審請求を要請。同11月には、憲法の請願権を根拠に、原告ら1205人を請求人として、同地裁に再審開始を求める文書を提出した。

 ◆ 菊池事件 =1951年、熊本県水源村(現・菊池市)の元村職員宅に爆発物が投げ込まれ、2人が負傷。ハンセン病患者と通報されたことを恨んだ犯行として、当時29歳の男性が逮捕され、52年に殺人未遂罪などで懲役10年の判決を受けた。男性が収容施設から脱走後、元職員が刺殺体で見つかり、殺人罪などに問われた男性は無実を訴えたが、57年に死刑が確定。62年に執行された。