衣552-1【医薬品製剤入門】流動化剤の基礎知識[医薬品添加物の解説⑦]

衣552-1【医薬品製剤入門】流動化剤の基礎知識[医薬品添加物の解説⑦]

含水ニ酸化ケイ素について調べてて

二酸化ケイ素はシリカセメントにあって、医薬品とセメントは違うと思いますけど、調べました。

 

【医薬品製剤入門】流動化剤の基礎知識[医薬品添加物の解説⑦] | アイアール技術者教育研究所 | 製造業エンジニア・研究開発者のための研修/教育ソリューション (engineer-education.com)

 

粉体混合物の流動性を良くする添加物を「流動化剤」といいます。

カプセルや錠剤などの医薬品製造工程には、カプセル充填機や打錠機への充填過程がありますが、流動化剤は、粉末の混合物を製剤加工する際に、機器などの中でスムーズにながれる移動できるようにします。

また、混合された状態がそのまま維持されることから、充填時の重量ばらつきを抑えることができ、均一性を保つためにも使用されます。

すなわち、製造途中で詰まることなく、スムーズに製造することができるようになり、錠剤間の含有量の変動を抑制することが可能となります。

 

 

4.主な流動化剤の種類

(1)軽質無水ケイ酸(二酸化ケイ素;シリカゲル)

二酸化ケイ素(SiO2)を98.0%以上含むもので、性状は、白色~帯青白色の軽い微細な粉末で、におい及び味はなく、滑らかな触感があるとされています。
また、水、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けないとされています。

流動化剤以外の用途としては、安定(化)剤 、滑沢剤、基剤、吸着剤、結合剤、懸濁(化)剤、光沢化剤、コーティング剤、湿潤剤、湿潤調整剤、着色剤、粘着増強剤、粘稠剤、賦形剤、分散剤、崩壊剤、崩壊補助剤、防湿剤、帯電防止剤などがあります。
最大使用量は、経口投与 2.6 gとなっています。

軽質無水ケイ酸を使用している医薬品としては、アカルボース錠、アリピプラゾール錠、アジスロマイシン細粒、アムロジピンOD錠、イマチニブ錠、エバスチン錠、オロパタジン錠、クラリスロマイシン錠、ボグリボースOD錠などなど多数の医薬品に用いられています。

 

 

(2)含水二酸化ケイ素

二酸化ケイ素(SiO2)を95.0%以上含むもので、性状は、白色の軽い微細な粉末で、におい及び味はなく、滑らかな触感があり、水又はエタノール(95)にほとんど溶けないとされています。

流動化剤以外の用途としては、安定(化)剤、滑沢剤、基剤、吸着剤、結合剤、コーティング剤、充填剤、賦形剤、帯電防止剤などがあります。
最大使用量は、経口投与3.8 gとなっています。

含水二酸化ケイ素を使用している医薬品としては、アシクロビル顆粒、アトルバスタチン錠、イトラコナゾール錠、オランザピン細粒、セフニジピンカプセルなど多くの製品に使用されています。

 

(3)メタケイ酸アルミン酸マグネシウム

メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは、Al2Mg2O11Si3.xH2O の組成式を持つ化合物です。

医薬品添加物の用途としては、流動化剤の他、安定(化)剤、滑沢剤、吸着剤、結合剤、懸濁(化)剤、コーティング剤、湿潤調整剤、賦形剤、崩壊剤、分散剤、防湿剤などがあります。
添加剤としての最大使用量は、経口投与 1.05gとなっています。

メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを用いた医薬品としては、アシクロビル顆粒、アジスロマイシン錠、アムロジピンOD錠、クラリスロマイシン錠、シルニジピン錠、シロスタゾールOD錠、テルミサルタン錠、ナフトピジルOD錠などなど多くの製品に使用されています。

なお、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは、胃酸を中和する制酸成分でもあります。
胃酸を中和するとともに、胃粘膜を保護する効果があるとされています。
一般用医薬品では、胃腸薬に含まれています。
また、薬による胃障害を防ぐことを目的に、かぜ薬や解熱鎮痛薬にも配合されています。

 

(4)タルク

タルクとは、滑石という鉱石を微粉砕し、精製したもので、含水ケイ酸マグネシウム(3MgO・4SiO2・H2O)を主成分とする白色粉末です。
無機鉱物中、最も硬度が低く、耐熱性に優れ、しかも化学的に安定した物質で、板状結晶をしており、すべりのよい肌触りの粉末で古くからベビーパウダーやタルカムパウダーの主成分として用いられています。「蝋石」(ろう石)とも呼ばれています。

性状としては、白色~灰白色の微細な結晶性の粉末で、なめらかな触感があり、皮膚につきやすい性質があり、水又はエタノール(99.5)にほとんど溶けないとされています。

流動化剤以外の用途としては、安定(化)剤、基剤、光沢化剤、コーティング剤、着色剤、糖衣剤、滑沢剤、乳化剤、粘着増強剤、賦形剤、崩壊剤、防湿剤などがあります。
最大使用量は、経口投与 3384mg、一般外用剤 787mg/g、舌下適用 24mgなどとなっています。

なお、タルクには、ウロキナーゼ吸着による肌荒れ防止・抗炎症作用が認められたとの報告もあります。

 

 

 

5.流動化剤選択のポイント

流動化剤には種々のケイ素化合物が使用されています。ケイ素化合物の場合、一般的には、粒子径が小さい方が流動性および成形性の改善効果が高いといわれています。
流動化剤として使用する場合、ケイ素化合物の配合率は1%未満にすることが多いのですが、結合剤として使用する場合もあり、その場合は数%配合されるようです。

また、シリカ粒子としては、多孔性シリカ粒子の方が無孔性に比べて流動性改善効果が大きく、少量の添加で高い効果が示されたとの報告があります。
シリカ粒子は、流動性改善の他に、錠剤の硬度増加や混合末の静電気除去のために添加されています。
なお、シリカ粒子の高表面積や細孔構造を利用した吸着担体としての利用も行われているようで、多孔性シリカ粒子を核粒子とすることで、テオフィリンの徐放性製剤の開発を試みた報告があります。