衣140-1チェルノブイリ原子力発電所事故後のドニエプル川流域の成分と黒海生態系における90Srの分布と移動

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https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201302205758077417

ドネプロ川って、

ドネプル川と一緒かなあ?

ドニエプル川ともいうらしい。

↓ここには、チェルノブイリ原発事故は載ってない?

改訂新版 世界大百科事典 「ドニエプル川」の意味・わかりやすい解説
 
ドニエプル[川]
Dnepr
ロシア,ベラルーシウクライナを南に流れ黒海にそそぐ大河。ウクライナではドニープロ川Dniproと呼ぶ。ヨーロッパではボルガ川ドナウ川に次ぐ第3の川。長さ2200km,流域面積50万4000km2。沿岸住民やコサックの生活,経済と密接な関係をもち,〈父なるドニエプル〉と呼ばれる。

 ドニエプル川ははじめスモレンスク丘陵北部標高約250mの斜面から流れはじめ,南西に流れてスモレンスクを通り,ロシアからベラルーシに入り,オルシャでは急崖と急流をつくって南に向きをかえ(〈コベリャクの早瀬〉といい,観光地となる),平野に出てモギリョフを通り,ゴメリの西方を通過してウクライナに入り,キエフザポロージエから南西に湾曲してヘルソン付近で長大なデルタをつくって黒海のドニエプル入江にそそぐ。年間流量平均はヘルソン付近で1700m3/s。12月から翌年3月下旬(上流では4月上旬)まで結氷。

 キエフの少し上流からは本流に構築されたダムと貯水池によって,河川縦断面はほぼ階段状になり,河水は流量制御されて洪水は防がれ,発電,飲用水,工業用水,灌漑用水など多角的に利用されるに至った。現在,ダムは本流に六つあり,上流からキエフ,カネフ,クレメンチュグ,ドニエプロジェルジンスク,レーニン記念ドニエプル(ザポロージエにあり,1932年完成),カホフカのそれである。ドニエプル川に沿ってウクライナの重工業地帯が形成されているため,単に水力発電だけでなく,工業用水や雑用水の需要が高まっており,同時に中・下流のステップの乾燥地帯の農牧地面積を拡大していくためには,このような河域統制が必要となったものである。灌漑用水と上水道は,ドニエプル川からクリボイ・ログ,ドンバス,南ウクライナ,北クリミアなどに引かれている。

 ドニエプル川は水上交通の大動脈であり,流域に立地する重工業都市向けの原材料(石油,鉱石,穀物,木材,綿,セメント,鋼材など)と工業製品の輸送のためにも,不可欠の存在となっている。上流およびその支流は運河によって他の水系へ抜けることができる。とくにドニエプル・ブーグ運河はドニエプル川~プリピャチ川~ピナ川からビスワ水系の西ブーグ川に出られるから,黒海ワルシャワバルト海が内陸水路によって結ばれることになる。また西ドビナ川とはベレジナ運河,ネマン川とはドニエプル・ネマン運河により結ばれ,それぞれバルト海につながるが,現在この2水路は使われていない。ドニエプル水系のおもな港は,スモレンスク,モギリョフ,キエフ,チェルカッシ,クレメンチュグ,ドニエプロジェルジンスク,ドニエプロペトロフスクザポロージエ,ニコポリ,ヘルソンなどである。

 ドニエプル川はスラブ古代史でも大きな役割をもった。黒海ドニエプル川~ボルホフ川~バルト海あるいはバイキングの国への水上ルートは,シルクロードの太い支線であり,この道筋をたどってビザンティン帝国や東方の文物が運びこまれた。また9世紀後半にノブゴロドに建国したとされるリューリクは息子や家臣をこのルート伝いに南下させてキエフに公国をつくらせた。
執筆者:渡辺 一夫