衣228穴見保雄社長はジョイフル、ホテルAZ(旧亀の井ホテル)㈱アメイズとか企業されて成功をおさめ、亡くなられました、御冥福をお祈りします。
糸島市のJRの駅、糸島高校前から見える虹のかかったホテルAZについて調べてみました↓
https://note.com/kashiharahiroshi/n/naeb453574b56
全国制覇を夢見た遅咲きの起業家~ジョイフル/アメイズ創業者の穴見保雄さん
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全国制覇を夢見た遅咲きの起業家~ジョイフル/アメイズ創業者の穴見保雄さん
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樫原弘志 Waterside Laboratory LLC
2022年1月17日 09:43
「杉乃井ホテルを買わないかという話が来ているんだ」
目次
■杉乃井買収を銀行が持ちかける
■穴見氏、杉乃井買収提案を断る
■ビジネスホテルのチェーン展開に邁進
■自らの決断に悔いなし
■もしジョイフル社長を続けていたら
■杉乃井買収を銀行が持ちかける
穴見保雄さんがそう言ったのは、別府の亀の井ホテルから大分に向かうクルマの中でした。2001年の初めころのことです。価格は60億円くらいだったでしょうか。
「高すぎます。債務超過ですよ。銀行がホテルに貸したお金をあなたから回収しようと思っているに違いありませんね」
私は1999年夏から杉乃井ホテル経営再建問題を取材していました。別府温泉というより九州を代表するリゾートホテルですが、バブル崩壊後の観光低迷、団体旅行の激減といった問題に苦しんでいました。赤字続きのうえ100億円を超す銀行借り入れがありました。施設は老朽化していて更新投資も必要でした。
杉乃井ホテルの主取引銀行だった大分銀行はホテルの資金繰りを支援しつつ、融資が焦げ付かないよう買い手を探していました。私は、ホテル倒産前にどこかが買い取るならその価格は「1円」が妥当だと考えていました。
■穴見氏、杉乃井買収提案を断る
ファミリーレストラン、ジョイフル創業者の穴見さんは、本業で儲かった資金をホテル事業に投資し、別府温泉の老舗、亀の井ホテルを低料金のファミリー向けのホテルとして再生していました。
当時、別府温泉は不況のどん底にあり、ホテル・旅館が続々倒産していました。そんな中、ファミレスで成功し、ホテルでも別府では亀の井ホテルひとり勝ち状態でした。
「まず値段が高すぎる。それに杉乃井を買収したら労働組合との話し合いを含めてホテルのことだけでかなりの時間をとられてファミレス経営どころではなくなりますね。再生に成功したらしたで地元でやっかみを生むことだってあるでしょう」
穴見さんは大分銀行の提案を断りました。そして2001年5月の大型連休の真っただ中、資金繰りに行き詰った杉乃井ホテルは倒産しました。スポンサー企業を募るには、民事再生法の適用を申請して銀行団に債権カットを求めるしかなかったのです。
大分銀行が探してきた候補は北海道のカラカミ観光でした。しかし、不況に苦しんでいるのは北海道も同じで、カラカミ側に余裕があったわけではありません。ほどなく、条件が折り合わず撤退しました。
■ビジネスホテルのチェーン展開に邁進
ハゲタカと呼ばれた米系の企業買収ファンド運営会社リップルウッドや盛和塾関係者が杉乃井ホテルの渡辺辰文社長から頼まれて会長を務めていた縁で京セラの名前も浮かんだりしましたが、最終的に再建スポンサーになったのは北海道の加森観光とオリックスの連合でした。
リゾートホテルとしての運営は加森観光が引き受け、ホテルの改装など経営再建に必要な資金はオリックスが出しました。いま振り返れば、杉乃井ホテルの破綻はホテルやゴルフ場などのファンドによる買収のさきがけでした。民事再生手続きで債務削減に成功した杉乃井ホテルはたちまち競争力を回復し、建物の建て替えにも取りかかっています。
私が驚いたのは杉乃井買収を断った後の穴見氏の行動です。ファミレス経営を長男の陽一氏に委ね、自らはホテル経営に専念するようになったのです。
「ホテルもファミレスのようにチェーン展開できないか」
穴見氏は1994年に亀の井ホテルを買収した後、無駄を省き、低料金でも確実に利益ができるようなホテルのビジネスモデルをずっと研究していたのです。
頭の切り替えの早さは穴見氏の特徴です。もうかっていた亀の井ホテルもビジネスホテルのコンセプトから外れると判断して売り払い、会社名をアメイズ、ホテルのブランドもホテルAZへと変更しました。