衣990オスプレイ佐賀配備、漁協は反対から賛成なのか?

衣990オスプレイ佐賀配備、漁協は反対から賛成なのか?

陸自オスプレイ計画、地元漁協幹部が駐屯地建設に賛成表明

野上隆生

佐賀空港への陸上自衛隊オスプレイ配備計画を巡り、地元の漁業者や駐屯地予定地の地権者ら約50人を対象にした地域振興策勉強会」20日佐賀市川副町の県有明海漁協南川副支所で開かれた。土地を管理する協議会の会長でもある同支所の田中浩人・運営委員長が冒頭、駐屯地建設について「支所執行部としては賛成」と初めて表明した。

 駐屯地予定地については、5月1日に開かれる土地の管理運営協議会の臨時総会で売却の是非を話し合う予定になっている。田中委員長はその直前に賛成を表明した。「売却反対の声もあるなか、なぜこのタイミングで表明したのか」と記者団に問われた田中委員長は、「私自身は議長でもあるので中立だが、(支所執行部の)運営委員の大半が賛成。振興策があるのが一番の理由ではないか」と述べた。

 その一方で田中委員長は、臨時総会で売却賛成が事前に決めた3分の2に満たない時には「その結果に従う」と述べ、結果次第では土地を売却しない意向も明らかにした。

 20日の勉強会は、臨時総会に先立ち、土地売却の是非を決める参考にしてもらおうと、田中委員長が九州防衛局に要請して実現した。九州防衛局に加えて県と佐賀市も参加。九州防衛局の伊藤哲也局長によると、防衛省の補助で漁業用施設や公民館の建設、消防用車両の購入などをした全国各地の事例を紹介したという。また、漁業者が懸念している排水対策については、排水の塩分濃度を調整するコンピューターシミュレーションの結果も説明。「約束した排水基準を満たす」と伝えた。

 土地売却に反対する地権者には、この日の勉強会への疑念もくすぶる。参加を見送った漁業者の一人は「勉強会の内容を事前に知って、計画推進派の『決起集会』だと感じた」と話した。駐屯地建設に反対する「地権者有志の会」の古賀初次代表(74)は「臨時総会前に、支所の執行部が用地売却に賛成していることを地権者に印象づけ、総会で賛成票を入れてもらう雰囲気づくりをしたいのか。公正なやり方ではない」と批判した。野上隆生