衣990-1公害防止協定

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オスプレイ用地、地元漁協が売却承諾 地権者の同意めぐり火種も

寿柳聡 野上隆生

佐賀空港佐賀市)への陸上自衛隊オスプレイ配備計画に関連し、佐賀県有明海漁協は15日の理事会で新駐屯地の用地を防衛省に売却することを決めた。土地の地権者でつくる管理運営協議会が今月1日の臨時総会で売却を決めたことを受け、土地の名義人である漁協も売却を承認したという。漁協は今後、売買契約に向けた具体的な作業を進める方針だ。

 西久保敏組合長によると、理事会では「地元が売却の意向であれば、反対することはない」として全員が売却に賛成したという。

 理事会の前には、出席した防衛省側が配備計画を漁協の検討委員会に説明。組合長によると、一部の地権者が「法的に地権者全員の同意が必要」と指摘していることについて、防衛省側から「3分の2以上の同意があれば問題ない」との説明があったという。これを踏まえ西久保組合長も「法的に問題ない」と判断しているという。

 また、土地売却に際して防衛省との公害防止協定の締結が必要だとの声があることについて、西久保組合長は、「(売却手続きと)同時並行でいろんな話をしていくなかで、その話もしていく」と述べた。

 地権者の同意をめぐる見解の相違について、佐賀大の中山泰道准教授(民法)は「佐賀県有明海漁協の単独名義で登記されていても、実体法上、漁協に所有権があるとは限らない。漁業者に対する漁業権補償の手段として干拓地が払い下げられ、漁協を通して持ち分割合が決まり、持ち分に応じて土地から得られる収益が分配されてきた経緯から、漁協名義の登記は法律関係を簡明に処理するためにとられた便宜的手段で、実体法的には個々の漁業者に共有持ち分権として割り当てられている、とみることは十分ありうる」と指摘。「売却に反対者がいれば、その持ち分権は移転せず、仮に国が単独名義で登記しても持ち分権を主張できる。登記だけで権利関係が明らかになるものではない」と話す。

 土地売却に反対する地権者の一人、石尾義幸さん(73)は「漁協が『売る』と決めても、誰が所有権者なのかと聞きたい。私たちはこの土地に持ち分権があり、売る気はない」と、抵抗する姿勢を示した。(寿柳聡、野上隆生