衣132石垣りん詩集

衣132石垣りん詩集

 

なんだか疲れて詩でも読んでみようと、本棚から取り出し読んでみた。

 

以前読んだ時とは感じ方が変わった。

 

石垣りんさんは大正9年1920年生まれで14歳から銀行の事務員、ウィキペディアによると定年まで勤めあげられたよう。

 

東京赤坂の薪炭商の第一子

お母様が関東大震災の怪我が元で亡くなられ、その妹さんと再婚されるも、死去、お母様が何度も変わられ兄弟姉妹も増えたり亡くなられたりのようです。

 

本の最初の詩

 

海よ云ふてはなりませぬ

空もだまつていますゆえ

あなたが誰で 私が何か

誰もまことは知りませぬ

(初期の詩「契」)

 

挨拶

原爆の写真によせて

 

あ、

この焼けただれた顔は

一九四五年八月六日

その時広島にいた人

二五万の焼けただれのひとつ

 

すでに此の世にないもの
 とはいえ

友よ

向き合った互の顔を

も一度見直そう

戦火の跡もとどめぬ

すこやかな今日の顔

すがすがしい朝の顔を

 

その顔の中に明日の表情をさがすとき

私はりつぜんとするのだ

 

地球が原爆を数百個所持して

生と死のきわどい淵を歩くとき

なぜそんなにも安らかに

あなたは美しいのか

  

しずかに耳を澄ませ

何かが近づいてきはしないか

見きわめなければならないものは目の前に

えり分けなければならないものは

手の中にある

午前八時一五分は

毎朝やってくる 

  

一九四五年八月六日の朝

一瞬にして死んだ二五万人の人すべて

いま在る

あなたの如く 私の如く

やすらかに 美しく 油断していた 

(1952・8)

 

 

大変な写真が載ってます。↓

「ユーモアの鎖国」って何だろう?!

https://y-oono.jimdofree.com/%EF%BC%93%E5%B9%B4/%E6%8C%A8%E6%8B%B6/