衣399島根原発2号機の運転差し止め認めず 広島高裁松江支部が仮処分判断

衣399島根原発2号機の運転差し止め認めず 広島高裁松江支部が仮処分判断

 

中国電力島根原発2号機(松江市鹿島町片句)の運転差し止めを住民が求めた仮処分で、広島高裁松江支部(松谷佳樹裁判長)が15日、差し止めを認めない決定を出した。島根原発の運転差し止めを巡る仮処分の判断は初めて。 【表】争点と住民、中国電力の主張 島根2号機は、事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型。中電は8月の再稼働を計画したが、安全対策工事の遅れで12月に延期した。 島根原発は全国で唯一、県庁所在地に立地し、避難計画の策定が必要な30キロ圏に2県6市の計約45万人が暮らす。住民側は稼働によって人格権が侵害されると主張。1月の能登半島地震の家屋倒壊や道路寸断の被害を受け、避難計画が定める屋内退避は不可能で「住民は放射性物質が漂う屋外で被ばくを強いられる」とし、計画に実効性がないと主張した。

 

また、中電が設定した最大加速度820ガルの基準地震動(耐震設計の目安となる地震の揺れ)は、近年の大規模地震の観測記録などに照らし低水準だと指摘。敷地と宍道断層の近さや、三瓶山(大田市)が大規模噴火した場合、原発敷地内への降灰量の想定も不十分などと訴えた。 中電側は基準地震動は十分な余裕を持って設定し、避難計画は具体的かつ合理的と国に確認されたなどと主張。危険性の具体的な指摘がないと反論し、申し立て却下を求めていた。 2010年から係争中の運転差し止め控訴審の判決確定までに時間がかかるため、住民側が23年3月に仮処分を申し立てた。高裁は24年2月までに双方の意見を聴く審尋手続きを計4回実施した。